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【最大1,000万円】人材育成訓練(人材開発支援助成金)の詳細ガイド

人材育成訓練は、職務に関連した専門的な知識・技能を習得させるための「OFF-JT(座学や実技演習)」を対象とした、最も汎用性の高い訓練コースです。正規雇用・非正規雇用を問わず活用でき、eラーニングや通信制など柔軟な受講形態にも対応しています。

1. 助成対象となる訓練の定義

単なる「研修」ではなく、以下の厳格な基準を満たす訓練計画のみが対象となります。

(1) 訓練内容の要件

職務関連性: 現在の職務に「直接」関連する専門的な知識・技能の習得、または将来就く予定の職務に関連するものであること。

    ◦ ○ 対象例: 建設業での施工管理技士資格取得、IT企業でのプログラミング言語習得、運送業での大型免許取得など。

    ◦ × 対象外: 接遇・マナーのみの講習、語学(業務との直接性が薄い場合)、普通自動車免許、趣味・教養レベルのもの、法令で実施が義務付けられている講習(安全衛生教育等)。

OFF-JT限定: 通常の生産活動と区別して行われる訓練であること。現場で働きながら学ぶOJTは本コースの対象外です。

(2) 時間数の要件

10時間以上: 実訓練時間数(休憩時間を除く)が10時間以上であること。

    ◦ 合算可能: 複数のカリキュラムを組み合わせて1コースとし、合計10時間以上とすることも可能です(内容に連続性・関連性がある場合に限る)。

(3) 実施形態の要件

以下のいずれか、または組み合わせで実施可能です。

実施形態

定義・要件

賃金助成

通学制

教育訓練機関に通学、または外部講師を招いて対面で実施。

あり

オンライン(同時双方向)

ZoomやTeams等を使用し、講師と受講者がリアルタイムで質疑応答できる形式。

あり

eラーニング

LMS(学習管理システム)で進捗管理ができる動画研修など。標準学習時間が10時間以上必要。

なし

通信制

テキスト等を使用し、添削指導や質疑応答が行われるもの。標準学習期間が1か月以上必要。

なし

2. 助成額・助成率の詳細(令和7年4月1日改正対応)

中小企業と大企業で率が異なります。また、訓練後に「賃上げ」等を行うことで助成額が大幅に加算されます。

(1) 基本の助成額・助成率

区分

経費助成率(訓練にかかった費用)

賃金助成額(訓練時間の給与補填)

中小企業

45%

800円 / 1人1時間

大企業

30%

400円 / 1人1時間

※eラーニング・通信制は「経費助成」のみ対象で、「賃金助成」はありません。

(2) 賃金要件・資格等手当要件による「加算」

訓練終了後、以下のいずれかを達成すると、助成額・率が上乗せされます。

要件: 訓練終了後1年以内に、対象者の毎月決まって支払われる賃金を5%以上アップさせる、または就業規則等に基づき新たな資格手当等を支払い賃金総額を3%以上アップさせる。

加算後の率・額:

    ◦ 中小企業:経費助成 60% (+15%)、賃金助成 1,000円 (+200円)

    ◦ 大企業:経費助成 45% (+15%)、賃金助成 500円 (+100円)

(3) 支給限度額(キャップ)

1人1コースあたりの経費助成限度額:

    ◦ 10時間以上100時間未満:15万円(大企業10万円)

    ◦ 100時間以上200時間未満:30万円(大企業20万円)

    ◦ 200時間以上:50万円(大企業30万円)

賃金助成の限度時間: 1コースあたり1,200時間まで(専門実践教育訓練は1,600時間)。

事業所全体の上限: 1年度あたり1,000万円まで。

3. 手続きの重要ポイント(高解像度)

手続きのミスにより不支給となるケースが多いため、以下の期日と要件を厳守してください。

Step 1: 計画届の提出(訓練開始の1か月前まで)

提出期間: 訓練開始日の6か月前から1か月前までの間。

    ◦ 注意: 「1か月前」の期限を1日でも過ぎると受理されません。

必須書類:

    ◦ 職業訓練実施計画届(様式第1-1号)

    ◦ 訓練カリキュラム(日時、内容、講師等が分かるもの)

    ◦ 対象労働者一覧

    ◦ 事前確認書(事業主本人が確認したもの)

    ◦ (事業内訓練の場合)部外講師・部内講師の要件確認書

    ◦ (事業外訓練の場合)パンフレット、見積書等。

Step 2: 訓練の実施(証拠書類の整備)

受講管理: 出勤簿、訓練日誌等で「誰が・いつ・何時間」受講したかを記録します。

賃金の支払い: 訓練時間は労働時間とみなされるため、所定の賃金(残業時間なら割増賃金)を支払う必要があります。

費用の負担: 受講料や教材費等は、全額会社が負担してください(本人負担不可)。

    ◦ 重要: 教育訓練機関からキャッシュバックや「広告宣伝費」等の名目で金銭を受け取ると、経費を全額負担していないとみなされ不支給になります。

Step 3: 支給申請(訓練終了後2か月以内)

提出期間: 訓練終了日の翌日から2か月以内

審査: この段階で初めて「支給・不支給」の審査が行われます。計画届が出せたからといって支給が約束されるわけではありません。

4. よくある落とし穴と細かい規定

事業内訓練の講師要件: 社内講師(部内講師)や社外の個人講師(部外講師)が実施する場合、その講師は「職業訓練指導員免許」「技能検定1級」「当該分野の実務経験10年以上(部外講師は講師経験3年以上でも可)」などの資格・経験要件を満たす必要があります。

受講率8割要件: 通学制等の場合、実訓練時間数の8割以上出席しないと、その人の分は一切支給されません(病欠等のやむを得ない理由がある場合を除く)。

PC等の汎用品: パソコン本体やタブレット、ウェブカメラなど、訓練以外でも使える備品の購入費用は助成対象外です。

受講回数制限: 同一労働者に対する助成は、1年度あたり3回までです。


5. 人材育成訓練に関するよくあるご質問 (FAQ)

Q1. 通学制(集合研修)とeラーニングを組み合わせて実施することはできますか? 

A1. はい、可能です。内容に連続性があり、一連のものとして受講することで訓練目的を達成すると判断される場合は、1つの訓練コースとして申請できます。 この場合、「通学制」の部分は賃金助成と経費助成の対象となり、「eラーニング」の部分は経費助成のみの対象となります。また、それぞれの実施方法に応じた支給要件(通学制は出席率8割以上、eラーニングは修了基準の達成など)を満たす必要があります。


Q2. 複数の実施方法を組み合わせる場合、「10時間以上」の要件はどのように判定されますか? 

A2. それぞれの訓練時間数を合算した時間数が10時間以上であるかで判断します。 例えば、「通学制(実訓練時間)5時間 + eラーニング(標準学習時間)5時間 = 合計10時間」となる場合は要件を満たします。ただし、eラーニングに標準学習時間が設定されておらず「標準学習期間」のみ設定されている場合(期間が1ヶ月未満のもの)などは合算の計算方法が異なるため、計画届提出前に労働局へご相談ください。


Q3. 訓練前の「予習」や、訓練後の「復習」も訓練時間に含まれますか? 

A3. 原則として、予習・復習(宿題、事前学習動画の視聴、確認テストなど)は訓練時間数(実訓練時間数)には含まれません。 ただし、その予習・復習部分が、LMS(学習管理システム)等により進捗管理ができる「eラーニング」の要件を満たしている場合に限り、その標準学習時間を訓練時間に含めることができます(その場合はeラーニングとして計画届への記載が必要です)。


Q4. 業務時間外や休日に訓練を行った場合、賃金助成は支給されますか? 

A4. いいえ、支給されません。 賃金助成の対象となるのは、所定労働時間内に実施された訓練のみです。所定労働時間外(残業時間)や休日(振替休日を取得せず、休日出勤手当を支払った場合など)に実施した訓練時間は、賃金助成の計算から除外されます。なお、経費助成については、所定労働時間外に実施された場合でも対象となります。


Q5. 訓練期間中に社員が自己都合で退職した場合、助成金はどうなりますか? 

A5. 退職の申し出日以降に実施される訓練については、賃金助成の対象となりません(経費助成は、実施分について対象となる場合があります)。 なお、退職者以外の受講者が訓練を継続している場合は、その受講者分については通常通り申請が可能です。


Q6. 「実訓練時間数」には、昼休憩や小休憩も含まれますか? 

A6. 昼食などの食事を伴う休憩時間は含まれません。 訓練の合間にとる短い休憩(小休止)については、1日あたり累計60分まで実訓練時間数に含めることができます。また、オリエンテーションや開講式・閉講式(事務的な説明)についても、1コースあたり累計60分まで含めることが可能です。


Q7. どのような経費が「受講料」として認められますか? パソコン代は対象ですか? 

A7. 入学金、受講料、教科書代(あらかじめ受講案内等で定められているもの)が対象です。 パソコン本体、ウェブカメラ、ヘッドセット、ソフトウェアなど、訓練以外でも汎用的に使える物品の購入費用は助成対象外です。また、受講者の旅費や宿泊費、食費なども原則として対象外となります(社内訓練で外部講師を招へいする場合の講師の旅費等は一定範囲で対象となります)。


Q8. 助成金の申請手続きを、研修会社に代行してもらうことはできますか? 

A8. 報酬を得て助成金の申請手続き業務(書類作成や提出代行)を行えるのは、社会保険労務士法に基づき社会保険労務士のみです。 教育訓練機関が「申請代行料は無料」としていても、受講料の中に実質的な手数料が含まれていると判断される場合などは法違反となる恐れがあります。また、教育訓練機関から「助成金を使えば実質無料になる」「キャッシュバックがある」といった勧誘を受けた場合は、支給要件(事業主が経費を全額負担すること)を満たさず不支給となる可能性があるためご注意ください。


著者:山本大輔



 
 
 

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